トレーニングはかわいそう?
- 尚子 田中
- 2024年1月11日
- 読了時間: 3分
犬をトレーニングするのがかわいそう、犬の好きにさせているのが犬の本当の幸せという人がいますが、、、、これは本当なのでしょうか?
1960年代の研究で、 動物は、「ただ飯」よりも、「報酬として受ける飯」の方を好むという研究結果があり、これをコントラフリーローディング効果と いいます。
この実験では、レバーを押すと食事がでてくる仕組みを学習させたネズミに、2つの選択肢を与えました。自由に食事が取れるボウルと、レバーを押すと食事が出てくる装置です。多くのネズミはボウルからではなく、わざわざレバーを押して食事を獲得しました。つまり、この研究では動物は本能的に苦労や努力などの対価を払って報酬を得ることを好むということを示しています。このコントラフリーローディング効果の実験では、ネズミだけでなく、犬や鳩、チンパンジーなどの動物でも同様の結果が得られました。しかし、実は、ネコだけは、ボウルの食餌を選んだそうです。ネコは怠惰ともいえますが、ネコもいろいろなことを学習することはできるので、レバーを押すという課題がネコにとって労力が大きすぎた、興味をそそられない、簡単だったのでは?という見方もあるそうです。もっとネコの習性を生かした課題にすると結果は違ったかもしれませんね。
この研究結果を後押しする理論として「報酬期待」というものがあります。報酬とは、生理学的欲求である食べ物や人に撫でられるや科目を覚えるなど学習による報酬も含まれます。報酬刺激を受けると脳は、ドーパミンという快楽物質を出します。ドーパミンは、幸福感、意欲や学習、記憶を高める働きがあります。
じつは、このドーパミンは、食べ物を食べた後だけではなく、報酬が当たることを期待、予測した時点ででているのです。これを報酬期待といいます。例えば、最初は「お座り」をしたあとの報酬が喜びだったことが、最終的には「お座り」の言葉や「お座りする行動」そのもの、一緒にいる飼い主が報酬になっていくということです。
ちなみに、だからといって、毎日の朝夕のごはん前にお手をさせる、長時間待てさせるなどは必要はありません。これらは、じらすというような行為になり、犬によっては、食べ物を守る行動が強くなり攻撃性につながったり、早食いにつながったりしますのでご注意ください。
トレーニング=悪ではなく、犬が行動した結果いいことをがあるという学習をすることは、哺乳類共通の学習の法則であり、そのような科学的な法則を使って犬にトレーニングすることは、犬の幸福感、意欲を高めることができるというお話でした。トレーニングの方法によることをお忘れなく・・・。このお話はまた今度。

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